償還請求権(リコース)とは?

ファクタリング

償還請求権(リコース)とは、売掛債権が回収できなかった場合に、債権を譲渡した元の債権者に対して、その未回収分を返済するよう請求できる権利を指します。この権利の有無は、ファクタリング契約において非常に重要なポイントであり、利用者のリスクや契約条件に大きな影響を与えます。

ファクタリング契約には、主に以下の2種類があります:

  1. 償還請求権なし(ノンリコース)
  2. 償還請求権あり(リコース)

以下では、それぞれの特徴やメリット・デメリットを詳しく解説します。


償還請求権なし(ノンリコース)

特徴

  • 売掛債権をファクタリング会社に譲渡した時点で、未回収リスクもファクタリング会社に移転します。
  • 売掛先が倒産したり、支払いが滞ったりしても、利用者(債権を譲渡した企業)は返済義務を負いません。

メリット

  1. 未回収リスクの回避
    売掛先の経営状態や倒産リスクを気にする必要がなく、安心して資金調達が可能です。

  2. 連鎖倒産リスクの軽減
    売掛先が倒産しても、利用者がその影響を受けることはありません。これにより、連鎖倒産のリスクを大幅に軽減できます。

  3. 新規取引先の活用
    新規の売掛先に対しても、未回収リスクを気にせず積極的に取引を行うことができます。

デメリット

  1. 手数料が高い
    ファクタリング会社が未回収リスクを負うため、手数料が高めに設定される傾向があります。特に中小企業や信用力の低い売掛先の場合、手数料がさらに高くなることがあります。

  2. 審査が厳しい
    ファクタリング会社はリスクを軽減するため、売掛先の信用力や取引履歴を厳しく審査します。そのため、審査に時間がかかったり、通過が難しい場合があります。


償還請求権あり(リコース)

特徴

  • 売掛債権を譲渡した後も、売掛先からの回収ができなかった場合には、利用者がその未回収分をファクタリング会社に返済する義務を負います。
  • 実質的には、売掛債権を担保にした融資に近い形態とみなされることがあります。

メリット

  1. 手数料が低い
    ファクタリング会社が未回収リスクを負わないため、手数料が比較的低く設定される傾向があります。

  2. 審査が通りやすい
    ファクタリング会社にとってリスクが少ないため、審査が比較的緩やかで、資金調達がスムーズに進む場合があります。

デメリット

  1. 未回収リスクを負う
    売掛先が倒産した場合や支払いが滞った場合、利用者がその損失を補填する必要があります。これにより、資金繰りが悪化する可能性があります。

  2. 実質的な融資とみなされるリスク
    過去の判例では、償還請求権ありのファクタリング契約が「融資」と判断されたケースもあります。この場合、貸金業法の規制を受ける可能性があり、違法性が問われる場合もあります。


償還請求権の有無による比較

項目償還請求権なし(ノンリコース)償還請求権あり(リコース)
未回収リスクファクタリング会社が負担利用者が負担
手数料高い低い
審査の厳しさ厳しい緩やか
資金調達のスピードやや遅い速い
リスク軽減高い低い

注意点と選び方

  1. 契約内容を確認する
    契約書に「償還請求権特約」や「買い戻し特約」といった文言が含まれている場合は、償還請求権ありの契約である可能性が高いため、注意が必要です。

  2. 信頼できるファクタリング会社を選ぶ
    償還請求権ありの契約を提示する業者の中には、違法業者が含まれている場合があります。貸金業登録をしていない業者が融資に近い契約を行うことは違法です。契約前に業者の信頼性を十分に確認しましょう。

  3. リスクとコストのバランスを考慮する
    売掛先の信用力や自社の資金繰り状況に応じて、償還請求権の有無を選択することが重要です。リスクを回避したい場合はノンリコースを、コストを抑えたい場合はリコースを検討しましょう。


まとめ

償還請求権の有無は、ファクタリング契約におけるリスクとコストを大きく左右します。

  • リスクを回避したい場合: 償還請求権なし(ノンリコース)を選択。
  • コストを抑えたい場合: 償還請求権あり(リコース)を選択。

契約内容を十分に確認し、信頼できるファクタリング会社を選ぶことで、安心して資金調達を行うことができます。

この記事の筆者・著者・監修者
筆者・著者・監修者
カネコ

[執筆者(著者)プロフィール]
・氏名:カネコ / 現金化ナビ
・肩書:フィンテック・キャッシュレス領域リサーチャー/コンテンツ責任者
・実績:
後払い・プリペイド・キャリア決済の比較検証を累計1800件以上実施
取材・ヒアリング:決済事業者/古物商/弁護士・司法書士/消費生活センター担当者 等
・紹介文:
バンドルカード等のプリペイド/後払いサービスの安全な利用・トラブル予防に主眼を置いた調査記事を担当。広告の有無にかかわらず手数料の実質負担・換金率の再現性を検証し、読者が不利益を被らない判断材料の提供に努めています。

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・氏名:平川誠
・肩書:消費者法務/決済規約リスク対応アドバイザー
・資格・所属:現金化ニュース

保有資格:ファイナンシャルアドバイザー
専門分野:資金決済法/割賦販売法/古物営業法/景品表示法

・監修方針:
本記事は違法行為の教唆・助長を目的としません。各サービス利用規約・関係法令の一般的な考え方に照らして、リスクと注意点の明確化を中心に監修しています。個別事案は状況が異なるため、必要に応じて専門家へご相談ください。

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